1. 耀司さんってどんな人?天才というより哲学者?
黒づくめの服を着た、言葉少なめな佇まい。その人こそが山本耀司。1943年東京生まれ、母親が仕立て屋だった影響もあり、慶応義塾大学法学部を卒業した後、文化服装学院へ。弁護士志望からの転身。人生っておもしろいですよね。
1981年にComme des Garçons(川久保玲)とともにパリコレに登場し、「黒の衝撃」と世界を揺るがせたデザイナーです。
彼の服作りには常に「反骨」がある。美しさを追わない。体を隠す。余白を愛する。そんな彼の服は“誰のものでもない自由”を感じさせます。
2. Yohji Yamamotoの服って、なんで黒いの?
「なぜ黒なのか?」と聞かれて、耀司さんはこう言います。「黒はすべてを受け入れる色」だと。
装飾をそぎ落とし、主張をせず、でも誰にも染まらない。そんな黒には、静かなる強さがあります。
「黒って地味じゃないの?」って言われるかもしれないけど、それが逆に“余白”になる。着る人の個性や思想がその空間に浮かび上がる。そんな“見えない美学”が、ヨウジの黒には詰まってるんです。
3. “身体を隠す服”のかっこよさ
「服は身体を美しく見せるものではなく、守るものである」
これは耀司さんの有名な言葉。人の形をなぞるのではなく、むしろ覆い、歪ませ、ズラしていく。
ドレープ、ボリューム、アシンメトリー、そして風に揺れる布の動き。
その“間”の美しさこそがヨウジ。肌を露出しない。なのにセクシー。そんな矛盾を成立させてしまうのが、彼の天才性でもあり哲学です。
4. Y's for men、Yohji Yamamoto pour homme、Y's、Y-3の違いとは?
「ヨウジってブランド名いろいろあるけど、正直よくわからない……」って思ったこと、ありますよね?実はこの“分かりにくさ”もヨウジらしさ。でも、ちゃんと理解すると、それぞれの“顔”が見えてきます。
■ Yohji Yamamoto pour homme
いわゆるメインライン(メンズ)。1984年スタート。パリコレで発表される本筋のコレクションで、哲学性・実験性・構築性のすべてがここに詰まってます。
■ Yohji Yamamoto FEMME
レディースのメインライン。1981年スタート。パリコレで世界を驚かせたのはこちら。
■ Y's(ワイズ)
1972年にスタートした、山本耀司が最初に立ち上げたブランド。実はpour hommeより先です。デイリーウェアとして着られる機能性・実用性に重きを置いたライン。
■ Y's for men(ワイズ フォー メン)
Y'sのメンズ版。90年代に展開が始まり、2009年に一度終了したが、2023年に復活。pour hommeとはまた違った“気負いすぎないリアルな男性像”を描くライン。
■ Ground Y(グラウンド ワイ)
2014年スタート。「ジェンダーレス・エイジレス・ボーダレス」を掲げる新ライン。ヨウジの哲学をもっと手に取りやすく、若い世代にも広げるための入り口。価格帯も少し抑えられ、ファンの裾野を広げました。
■ Y-3(ワイスリー)
2003年、adidasとのコラボで誕生。スポーツ×モードの融合。スニーカー好きなら誰もが知っているY-3 QASAやKAIWAなど、ヨウジの哲学をストリートに落とし込んだ代表格。
5. スタッフが愛するヨウジの名品たち
NOWALLのスタッフが「これは刺さった」「ずっと着たい」と思った、通好みの名作たちを勝手に語ります。
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スタッフY:「定番のワイドパンツ。履いた瞬間に“自分じゃない誰かになれる”感覚。歩き方も変わる(笑)」
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スタッフM:「チャイナシャツ。前合わせや立ち襟に“和と中の混血”を感じて惹かれた。着倒してます」
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スタッフM:「LOOK30のカーディガン。リンクル素材に花柄って、ヨウジでしか成立しない甘辛バランス」
ときに静かに、ときに語りすぎるのがヨウジ沼の特徴。わかる人には、わかる。
6. Yohji沼にハマった人たちのあるある
余談その1:実はあの人もヨウジ派?
ヨウジファンって、芸術家やミュージシャンにめちゃくちゃ多いんです。
たとえば:
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山口一郎(サカナクション):ライブ衣装はヨウジ率高め。音楽と黒の親和性ってすごい。
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Bjork(ビョーク):アバンギャルドな世界観に通じ合うものが。
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三宅一生との関係:一見スタイルは違うけど、“布と構築”の思想には共通点も。
そして、実は海外のラッパーたちもヨウジを着ていることがあるんです。
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A$AP Rocky:Rick OwensやRaf Simonsと並んで、Yohji Yamamotoのアイテムも愛用しているとされる。彼の黒を基調としたレイヤードスタイルにYohjiの影響を感じる場面も。
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Kanye West:ヨウジ本人とのコラボはないが、Kanyeが自身のブランドYEEZYにおいて影響を受けたデザイナーのひとりとしてYohjiの名を挙げたことがある。
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Travis Scott:撮影やファッション誌のスタイリングで、Yohjiのルックを大胆にミックスするケースあり。
ヒップホップ=ストリートだけじゃない。むしろ“黒”で表現される精神性の深さが、彼らの自己表現と重なるのかもしれません。黒の静けさもまた“強さ”なんですよね。
余談その2:ヨウジ好きあるある?
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気づいたらクローゼットが全部“黒”
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「これ、どこの?」って聞かれたとき、“答えたくないけど答えたい”矛盾
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一度洗っただけで“あ、これ育つやつだ”って実感
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「Y-3しか知らなかったのに」からの沼落ち
服だけじゃなく、生き方まで影響され始めたら、それはもう末期です。
余談その3:ヨウジと他ブランド、どこがどう違う?
ここまで読んで「ヨウジって独特なんだな〜」と思った方、正解です。でも、他のブランドとの違いを知ると、もっとヨウジが面白く見えてきます。
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Rick Owens:こちらも“黒の帝王”。ヨウジとの違いは、Rickが“構築美の暴力”なら、ヨウジは“余白の静けさ”。
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COMME des GARÇONS(川久保玲):同じく日本発のアヴァンギャルドだけど、川久保は“問いかけ型”、耀司さんは“語らぬ型”。
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Maison Margiela:匿名性という意味では通ずるけど、マルジェラは“解体”、ヨウジは“包み込む”。同じ黒でもアプローチが全然違うんです。
「なんか雰囲気似てるな〜」で済まさず、違いを比べてみると、ファッションがもっと面白くなります。
余談その4:ファッション業界あるある(とくにヨウジ編)
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“ヨウジ好き”って言うとちょっと一目置かれる(そして距離も置かれる)
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バイヤーの展示会で全身黒の人がいたら9割ヨウジ関係者
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黒の服を着てるのに「今日ちょっと明るいね」と言われる
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新作のルックを見て「これいつのやつだっけ?」ってなる(実は10年前と似てるけど違う)
ファッションの深みにハマるきっかけとして、ヨウジは最強です。
7. 黒しか着ないって、逆に自由じゃない?
「黒=制限」じゃない。「黒=余白」であり、「黒=意思」だと思うんです。
誰かに見せるためじゃない。自分のために着る。語らずとも伝わるスタンス。
黒って、気取ってるようで一番素直なのかもしれない──そう思えるのが、Yohji Yamamotoの服。
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NOWALLでは、スタッフみんながただ“売る”だけじゃなく、心からファッションが好きで、豊富な知識で語りたい人たちばかり。ヨウジが好きな人も、まだ知らなかった人も、どんな方でも大歓迎です。
「これってどう着るの?」「ヨウジってなんか難しそう…」そんな声にも全力でお応えします。
着る楽しさ、知る面白さ、語るワクワク──ぜひNOWALLで体感してください。お店でお会いできるのを楽しみにしています!