1. マルジェラを語るうえで外せないキーワード解説
■ そもそもマルジェラってどんな人で、どこの国のブランド?
はい、ここ意外と知られてないんですが──マルタン・マルジェラはベルギー人。でも、ブランドMaison Margielaが誕生したのはフランス・パリ。なので「ベルギーブランド?フランスブランド?」ってよく聞かれますが、正確には「ベルギー生まれのデザイナーが、フランスで立ち上げたブランド」というのが正解。
だからこそ、アントワープらしい静かな美学と、パリらしい洗練された空気が共存してるんですよね。まさに“国境を超えた感性”。
■ マルジェラとは?
一言で言うなら、“ファッション界のゴースト”。ショーで顔を見せない。インタビューも受けない。なのに、出す服はどれも革新的。どこかのインディーズバンドみたいに、「知ってる人だけが知ってる」みたいな空気をまといながら、実は全員知ってるみたいな存在(笑)。今は有名になり過ぎなくらいですね(汗)。
でも、ちゃんと見てみると、すべての服に哲学が詰まってるんです。マルジェラの“美学”にハマると、抜け出せなくなる。これぞ“沼”です。
■ アーティザナルって知ってる?
マルジェラといえば、アーティザナルを知ってないとマルジェラ通とはいわせない(冗談笑)。アーティザナルとは、マルジェラが手がける“手作業の一点物”シリーズ。フランス語で「職人の手仕事」を意味する“artisan”が語源。
ここでちょっと豆知識──ファッション業界には「プレタポルテ(=既製服)」と「オートクチュール(=高級注文服)」という2つの大きなカテゴリがあるんですが、
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プレタポルテ:お店に並んでる既製品。買ってすぐ着られる。
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オートクチュール:お金持ちのマダムたちがアトリエで注文する、1点物の超高級服。
ちなみに代表的なプレタポルテブランドは、CELINE(セリーヌ)やAcne Studios(アクネ ストゥディオズ)、**A.P.C.(アーペーセー)**など。
対してオートクチュールは、CHANEL(シャネル)、Dior(ディオール)、**Jean Paul Gaultier(ジャン=ポール・ゴルチエ)**などが有名ですね。
このアーティザナルは、実は**オートクチュール認定を受けた、世界でも珍しい“アバンギャルドなオートクチュール”**なんです。
つまり、「ファッションをアートとして昇華した」マルジェラらしいコレクション。値段ももちろんアート(笑)ですが、まさに“魂の込められた服”です。
■ なぜ顔を隠すのか(匿名性の所以)?
マルジェラがずっと貫いている“匿名性”という美学。これ、いろんな意味があるけど、端的に言えば「服だけを見てほしい」っていうスタンスです。
モデルの顔を隠すことで、「この服は“誰かのもの”じゃなくて、“あなただけのもの”になる」。そういうメッセージなんですよね。ロゴでブランドをアピールする時代に、“顔も名前も隠す”って、かっこよすぎません?(←ココ好きになるポイント)
■ ナンバータグの意味?

マルジェラのアイテムって、白い布に0〜23の数字が並んでて、そこに丸が打たれてますよね。あれ、なんのこっちゃ?って最初は思うんですが、実はあれ、ラインナンバーなんです。
たとえば:
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1:女性の服
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10:男性の服
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4:女性のワードローブ
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14:男性のワードローブ
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11:アクセサリー
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22:靴
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0と0 10:アーティザナル
つまりタグを見るだけで「これはどのカテゴリーのアイテムか」がわかるという、マルジェラらしい“非説明的だけど、実は超説明的”な仕組み。クール。
そしてこのタグ、実は最初は真っ白なタグだけだったんです。そこにブランド名も何も書かれていない。「何これ?」と見た人が考える。そう、**あえて“何も語らないことで語る”**という、マルジェラの思想がそのままタグに表れていたわけです。
のちに“分類”のために番号を付けるようになりましたが、それすらもアーティスティックでコンセプチュアル。
■ ナンバータグはなぜ切らない?切っても大丈夫?

「切ってもいいし、切らなくてもいい」。これがマルジェラ流。あの四隅の白ステッチって、着る人の意思で外せるようにわざと“ゆるく”縫ってあるんです。
残せば「これはマルジェラです」ってアピールになるし、切れば「ブランドなんて関係ない」っていう意思表示にもなる。
どっちも“正解”。マルジェラの服は、着る人の思想までも受け入れてくれるんです。
2. 語りすぎて話がそれた…けど面白い話
■ 「アントワープ6って知ってる?」
1980年代、世界のファッション業界がパリとミラノ一強だった時代、突如として現れたのがベルギーのアントワープ王立芸術アカデミー出身の6人の若手デザイナーたち。
彼らはロンドンで合同展示会を行い、“アントワープ・シックス(Antwerp Six)”として一躍脚光を浴びます。その中の1人がマルジェラ。
6人のメンバーは以下の通り:
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マルタン・マルジェラ
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アン・ドゥムルメステール
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ドリス・ヴァン・ノッテン
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ワルター・ヴァン・ベイレンドンク
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ディルク・ヴァン・サーン
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マリナ・イー
今でも“伝説の卒業生たち”として、アントワープの誇りです。
■ 「アントワープ出身の有名デザイナー」
さっきの6人に加えて、アントワープからは今も素晴らしいデザイナーが続々。
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Dries Van Noten:色彩と柄使いの魔術師。着るアートです。
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Ann Demeulemeester:詩的でロマンティックな世界観。黒が美しい。
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Walter Van Beirendonck:奇抜でカラフル、でも計算され尽くしたポップアヴァンギャルド。
- Raf Simons(ラフ・シモンズ):モダン・ミニマルの帝王。マルジェラに強い影響を受けた世代で、音楽やサブカルチャーへの造詣の深さも特徴。自身のブランドだけでなく、JIL SANDERやDIOR、現在PRADAなど名門でも活躍。
どのブランドも、静かだけど熱い美意識が共通しています。
■ 「アントワープ以外の有名な学校は?」
世界にはファッションエリート校がいくつかあります。
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セントマーチンズ(ロンドン):アレキサンダー・マックイーン、ジョン・ガリアーノ、ステラ・マッカートニーが卒業。感性の爆発地帯。
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パーソンズ(NY):マーク・ジェイコブス、トム・フォードなど、商業性とセンスを両立させた実力派を多数輩出。
そして忘れちゃいけないのが日本の名門──文化服装学院(Bunka Fashion College)。
ここはもう、日本のファッション界の心臓部ともいえる学校で、卒業生には高田賢三(KENZO)、津森千里(TSUMORI CHISATO)、**山本耀司(Yohji Yamamoto)**など世界的デザイナーがズラリ。世界からも一目置かれる名門校です。
ファッションって、学校ごとの“思想”がブランドに反映されていて、それを知るだけでも楽しいんです。
■ 「川久保玲との共通点、違い」
マルジェラの名前が出ると、セットで語られるのが川久保玲(かわくぼ・れい)。**COMME des GARÇONS(コム デ ギャルソン)**の創設者で、日本が世界に誇る“ファッション思想家”。
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共通点:両者とも「壊すことで、新しい美を生む」人。既存のルールに対してNOを突きつける。
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違い:川久保は“語る”。マルジェラは“語らない”。
川久保は、ショーも演出も“問い”が強くて、時に難解。でもそれが刺さる人には深く響く。
どちらも「ファッションとは何か?」を問う天才です。
3. NOWALLスタッフの勝手に名品図鑑
ここではNOWALLの中でも「これはヤバい」とスタッフが太鼓判を押す“通好みのマルジェラ”をご紹介!
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スタッフY:「やっぱりアーティザナルは神。もう次元が違う。クローゼットじゃなくて額に入れて飾りたい(笑)」
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スタッフA:「5ACのトートは、マルジェラ入門にぴったり。実はめっちゃ使いやすいんですよ。休日にも仕事にも。」
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スタッフM:「slash denimは一度履いたら最後。あのカッティングと生地感は、中毒性ありすぎです。」
みんなで「このアイテムいいよね」って語れるブランドって、ほんと貴重なんです。
4. ファッションを“着る”以外の楽しみ方
服って、ただ着るだけのものじゃないんです。背景や文脈、ブランドの思想を知ることで、「着る楽しさ」だけじゃなくて、「語る楽しさ」も出てくる。
たとえば:
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ナンバータグの意味を知ったときの“ドヤ感”
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川久保玲とマルジェラを語ってる自分にちょっと酔える瞬間
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デザイナーのルーツを知ることで、服の選び方が変わる
そんな体験を、NOWALLではこれからも届けていきたいと思ってます。
「ファッションって、こんなに奥深くて面白いんだ」って、この記事を読んで思ってくれたら……もう、書いた甲斐ありまくりです!
▶ Maison Margielaの新作はこちら:https://nowall-online.com
NOWALLではマルジェラを愛するすべての方に向けて、ただの販売ではなく、“語り合える場所”を目指しています。
他では見られないような珍しいアイテムも多く、定番だけじゃない“マルジェラの奥深さ”を楽しめるのがNOWALLの強みです。
スタッフはみんな、マルジェラ愛が強くて接客にも自信あり。 どんな方でも、きっと店を出る時には「マルジェラっていいな」と思っていただけるはずです。
初心者さんも、通な方も、気軽に遊びに来てくださいね。 スタッフみんなでお待ちしております